CD №04-04 (21:53)

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4 登録後の事情変更

取引士も人間である以上、登録を受けてからいろいろと事情が変わる。事情変更をそのままにしておくと、登録した知事が取引士の現在の姿をつかめなくなる。そこで 4-1 4-4 までの4つの制度がある。


4-1 登録の移転
登録を受けた後で、「他の都道府県の宅建業者の事務所の業務に従事し、または従事しようとするとき」に申請できるのが、登録の移転だ。

(1)
登録の移転の申請は、「他の都道府県の宅建業者の事務所の業務に従事し、または従事しようとするとき」にできる。つまり、他の都道府県の宅建業者で仕事をする(する予定)のときに、申請できる。だから、単に他の都道府県に引っ越しただけでは、登録の移転は申請できない。

過去問
 
宅建業者Aの取引士Bが、甲県知事の宅建試験に合格し、甲県知事の登録を受けている。Bが甲県から乙県に転居しようとする場合、Bは、転居を理由に乙県知事に登録の移転を申請できる。(×)

なお、他の都道府県の宅建業者で仕事をするときでも、事務の禁止処分を受けその禁止期間が満了していない間は登録の移転を申請できない。事務の禁止処分を受けている期間は、どうせ取引士としての事務ができないからだ。

(2)
登録の移転の申請は、他の都道府県の宅建業者で仕事をする(する予定の)ときに「できる」だけだ。つまり、登録の移転は義務ではなく権利だ。他の都道府県の宅建業者で仕事をするときでも、登録の移転の申請が強制されることはない。

(3)
登録の移転の申請は、登録を移転しようとする先の知事にする。もっとも、現在 登録をしている知事を経由して、移転しようとする先の知事に申請することになっている。移転しようとする先の知事に直接申請することはできない、ということだ。

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(4)
登録の移転の申請ができるのは、登録を受けている本人だ。登録を受けている者を雇っている、または、雇おうとする宅建業者ではない。

(5)
登録の移転の申請は、現在取引士として宅建業に従事していない者でも、他 の都道府県の宅建業者で仕事をする(する予定の)ときは、できる。

(6)
登録の移転と取引士証の関係は、次のようになっている。

過去問
N  
取引士が登録の移転を申請しようとするときは、登録移転申請書に、現に受けている取引士証を添付しなければならない。(×)
O  
取引士は、登録の移転の申請とともに取引士証の交付の申請をしたときは、速やかに、取引士証をその交付を受けた知事に返納しなければならない。(×)

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4-2 変更の登録
登録を受けた後で、「4つの事項が変わったとき」に、 登録権者 * に登録の変更の申請が義務付けられることを、変更の登録という。

(1)
変更の登録の申請は、登録を受けている知事に直接する。住所地の知事を経由してするのではない。

(2)
変更の登録を申請する義務があるのは、登録を受けている本人だ。登録を受けて いる者を雇っている、または、雇おうとする宅建業者ではない。

過去問
P  
宅建業者は、他の宅建業者に勤務していた取引士を採用したときは、その取引士が登録を受けている知事に変更の登録を申請しなければならない。(×)

(3)
変更の登録の申請は、現在取引士として宅建業に従事していない者でも、 次の(4)のどれかが変われば、する必要がある。

(4)
変更の登録の申請が義務付けられるのは、次の4つの事項が変わったときだ。

過去問
 
宅建業者A社(甲県知事免許)の取引士は、専任の取引士であるBのみである。A社が事務所を乙県に移転したため、乙県知事の免許を取得した場合、Bは変更の登録を申請しなければならない。(○)

(5)
変更の登録の申請は、変更があってから遅滞なく * する必要がある。

過去問
 
登録を受けている者がその本籍を変更した場合、本人が、遅滞なく、その登録をしている知事に、変更の登録を申請しなければならない。(○)

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4-3 取引士証の書換え交付申請

登録を受けた後で、「氏名または住所が変わったとき」に、取引士証の書換え交付の申請が義務付けられることだ。

(1)
取引士証の書換え交付申請が義務付けられるのは、「氏名または住所が変わったとき」だけだ。取引士証には取引士の個人的な事情として、氏名・住所・生年月日の3つが記載されるが、そのうち変わることがあるのは氏名と住所の2つだけだからだ。そこで、本籍・勤務先などが変わったときでも、取引士証の書換え交付申請は必要ない、ことになる。

(2)
取引士証の書換え交付申請は、変更の登録と併せて(つまり遅滞なく)する必要 がある。なぜなら、氏名や住所の変更は変更の登録が義務付けられる事項でもあるからだ。

過去問
 
取引士Aが、甲県知事の登録と取引士証の交付を受けている。Aは、住所を変更したときは、すぐに、変更の登録の申請とあわせて、取引士証を書き換えてくれという申請を甲県知事にしなければならない。(○)


4-4 死亡等の届出

登録を受けた後で、「もう取引士を続けられない事情が生じたとき」に、登録権者に届出が義務付けられることを、死亡等の届出という。

(1)
死亡等の届出が義務付けられるのは、「もう取引士を続けられない事情が生じたとき」だが、具体的には、次の7つの場合だ。

死亡したとき
営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者* にもどったとき
精神上の障害がある者(成年被後見人、被保佐人)になったとき
破産手続開始の決定を受けたとき

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変なことをして免許を取消されたとき *
懲役又は禁錮になったとき宅建業法に違反した場合と暴力団犯罪 * を犯した場合は懲役・禁錮の他に罰金になったとき)。この懲役・禁錮・罰金は執行猶予になった場合も含む
暴力団員等* に該当したとき

(2)
死亡等の届出は、次の者が行う必要がある。要するに後始末する人だ。

                      
死亡したとき 相続人
成年者と同一の行為能力を有しない未成年者にもどったとき 本人
精神上の障害がある者(成年被後見人、被保佐人)になったとき ・成年被後見人になったときは成年後見人
・被保佐人になったときは保佐人
破産手続開始の決定を受けたとき 本人免許、5-4廃業の届出(3)③と比較せよ)
変なことをして免許を取消されたとき 本人
懲役又は禁錮になったとき(宅建業法に違反した場合と暴力団犯罪を犯した場合は、懲役・禁錮の他に罰金になったとき)。この懲役・禁錮・罰金は執行猶予になった場合も含む。 本人
暴力団員等に該当したとき 本人

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過去問
 
取引士が死亡等一定の事由に該当するようになった場合、一定の者がその取引士が登録を受けている知事に届け出なければならないが、取引士が破産者になったときは、その破産管財人が届け出なければならない。(×)

(3)
死亡等の届出は、その事実が発生した日から30日以内にする必要がある。ただし、死亡したときの相続人だけは、その事実を知った日(死亡したことを知った日)から30日以内に届出を行う必要がある。死んだときだけ「事実を知った日」から数えるのは、死亡を知らない相続人もいるからだ。

過去問
 
乙県知事の登録を受けている取引士Cが成年被後見人となった場合、その成年後見人Dは、その日から30日以内にその旨を乙県知事に届け出なければならない。(○)

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(4)
取引士を続けられない事情が生じたときの届出が死亡等の届出だから、届け出があった時に、登録権者が登録を消除するのが原則だ。
でも、死亡したときだけは、民法の決まりで、死亡の事実があった瞬間に、本人(死んだ人)は法律の舞台から消えることになっている。
そこで、死亡した場合だけは、届出義務者(相続人)の届出がなくても、死亡の事実が判明した時に、登録権者は登録を消除しなければならない。
要するに、死亡等と届出と登録の効力の関係は次のようになる。

                        
死亡したとき 届出がなくても、死亡の事実が判明した時に登録権者は登録を消除する必要がある(届出があれば、届け出があった時に、登録権者は登録を消除する必要がある)
成年者と同一の行為能力を有しない未成年者にもどったとき 届け出があった時に、登録権者は登録を消除する必要がある
精神上の障害がある者(成年被後見人、被保佐人)になったとき 上と同じ
破産手続開始の決定を受けたとき 上と同じ
変なことをして免許を取消されたとき 上と同じ
懲役又は禁錮になったとき(宅建業法に違反した場合と暴力団犯罪を犯した場合は、懲役・禁錮の他に罰金になったとき)。この懲役・禁錮・罰金は執行猶予になった場合も含む。 上と同じ
暴力団員等に該当したとき 上と同じ

過去問
 
登録を受けている者が死亡した場合、登録している知事は、相続人から の届出がなくても、その事実が判明したとき、登録を消除しなければならない。(○)

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4-5 登録後の事情変更の「まとめ」

                                       
どういうとき いつまでに
登録の移転 他の都道府県の宅建業者の事務所の業務に従事し、または従事しようとするとき 義務ではなく権利なので、期限なし
変更の登録 4つの事項
・氏名
・住所
・本籍(日本の国籍を有しない者はその者の有する国籍)
・宅建業の業務に従事する者は、その宅建業者の商号・名称・免許証番号
が変わったとき
遅滞なく
取引士証の書換え交付申請 氏名または住所が変わったとき 変更の登録と併せて(つまり遅滞なく)
死亡等の届出 もう取引士を続けられない事情が生じたとき 30日以内


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