宅建は範囲がとても広い試験です。
権利関係の中心である民法だけでも1,000以上の条文が有ります。
そこで、単純に「知識は増やせばいい」と思ってる人は、決して頭が良いとは言えません。
物を考えるのが下手な人だと思います。
頭が良い人は、「どうしたら知識を増やさないで済むか」を考えようとします。
民法(権利関係)は全50問中12問出題されますが、そのうち何点取れば合格できるか、そして合格に必要な知識は「どの程度か」を最初に考えてから勉強を始めないと、民法に充てる勉強時間のほどんどが無駄に終わると思います。
民法(権利関係)で必要な知識は「どの程度か」を考える時、皆さんがお持ちの参考書類は余り当てになりません。
出もしない民法の知識が、わんさと書かれています。
当てになるのは過去問です。
国家試験は、各年度の合格者のレベルをそろえるため、繰り返し同じテーマの問題を出題するからです。宅建試験も例外じゃないです。
そこで普通の受験者は、過去問集をそろえて一生懸命問題を解きます。
ていうか、現在では過去問集を持っていない受験者は一人もいないでしょう。
独学でやっていても予備校を利用していても、「過去問は重要だ」というのは誰の耳にも入ってくることだからです。
でも、100人のうち85人くらいは漫然と過去問を解いただけでオシマイ。そのまま本試験日を迎えてしまいます。
この辺の甘さと、宅建の合格率が15パーセント前後なのとは、どうも関連が有りそうですね。
実は、市販の過去問集、予備校で提供してくれる過去問集は、共に「余計な知識を与え過ぎている面」があります。
そのため、漫然と過去問集を解いていると、頭の中をグチャグチャにされる危険が、特に民法(権利関係)で高くなります。
例えば、平成12年の[問3]と[問5]で出題された先取特権(さきどりとっけん)や根抵当権(ねていとうけん)というテーマですが、これらは、いわば「付け馬」みたいな過去問でして、各年度の「合格者のレベルをそろえる」ために出題されるテーマでは有りません。だから「出来なくても落ちません」。
先取特権や根抵当権の知識は 「増やさない方がいい知識」の典型です。
せいぜい言葉の意味くらいを勉強したら、さっさと次のテーマに進まなければなりません。
でも、市販の過去問集等は、その知識が今度また出題された時も出来るようにと事細かく解説してくれます。
一見親切そうですが、一言「このテーマは出来なくても落ちません」との断り書きがない限り、親切がアダになります。
もっとも、市販の過去問集等の著者は「出来なくても落ちない」ことを承知の上で、ワザと載せています。その方が売れるからです。
宅建の迷物図書館でも、昔は、平成12年の[問3]と[問5](先取特権・根抵当権)を解説していましたが、受験者の皆さんの混乱を恐れ、今は削除しています。
単純に「知識は増やせばいい」と考えるのは、受験者の皆様には無理もない面が有ります。下は中高生も宅建を受験する御時世ですからね。
でも、皆様に法律を教える立場の者が「知識は増やせばいい」と煽(あお)ったのでは、これは犯罪に近い!
教える立場の者が「無知で煽る場合」と「知っていて煽る場合」が有りますが、後者だったら言語道断です。
皆さんは、知識を増やすと安心できるでしょう?
でも、増やし過ぎた知識はゴミです。かえって邪魔になります。
気休めの一時的な安心でオシマイになりたくなかったら、この点を意識しておくことはスゴク大切です。
重要なのは、「どうしたら知識を増やさないで済むか」です。
知識は捨てるほうが難しいんですよ!
まだ良く理解できない人は、捨てることの難しさというコラムを読んで下されば、と思います。