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非法律科目の重要性

(1)

宅建は四肢択一式50問が出題される、法律の試験です。
でも、法律の試験じゃない例外が、3問あります。

1.不動産の統計
2.宅地の知識
3.建物の知識

の3問は、法律の試験じゃないです。

(2)

上の3問は、法律に直接関連しないので、ナメて掛かる受験者がとても多いです。
オマケに、予備校や講師の、上の3問に関する解説には、マトモなものが無きに等しいです。

そのような現状から、この3問の不出来が原因で、1~2点差で「サクラ散る」人が、宅建倶楽部の調査では結構多いです。

(3)

そこで今回のメッセージでは、上の3問の中から「2.宅地の知識」の問題と解説を検討してみたいと思います。
使う過去問は、[平成27年度問49]です。

(4)[平成27年度問49]の問題

土地に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1 我が国の低地は、ここ数千年の間に形成され、湿地や旧河道であった若い軟弱な地盤の地域がほとんどである。
2 臨海部の低地は、洪水、高潮、地震による津波などの災害が多く、住宅地として利用するには、十分な防災対策と注意が必要である。
3 台地上の池沼を埋め立てた地盤は、液状化に対して安全である。
4 都市周辺の丘陵や山麓に広がった住宅地は、土砂災害が起こる場合があり、注意する必要がある。

(5)[平成27年度問49]の問題と解説

土地に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

[問題]
 我が国の低地は、ここ数千年の間に形成され、湿地や旧河道であった若い軟弱な地盤の地域がほとんどである。

[解説]
適当な肢です。
本肢の「低地」は、「山地」に対する意味で使われていると思われます。山地を形成する岩石は、さまざまな作用で風化し、雨などで供給される水によって浸食され、土砂となって下流側・海側に運ばれ「低地」になります。私たちが現在目にしている「低地」は、おおむね最近数千年の間に、このような過程を経て形成されたものです。そして「低地」は、湿地や旧河道(昔の河の跡)だった若い(最近数千年の)地盤の地域がほどんどです。例えば今の東京都心・下町は、徳川家康以来、湿地が地盤改良された地域です。

[問題]
 臨海部の低地は、洪水、高潮、地震による津波などの災害が多く、住宅地として利用するには、十分な防災対策と注意が必要である。

[解説]
適当な肢です。
臨海部(海に臨んでいる所)の低地は、海面との高低差が少ないので、洪水、高潮、地震による津波などの災害が多いです。だから、住宅地として利用するには、十分な防災対策や注意(例:市町村が配布しているハザード・マップなどを参照して、避難経路を把握しておくこと)が必要、という理屈になります。

[問題]
 台地上の池沼を埋め立てた地盤は、液状化に対して安全である。

[解説] 正解肢
最も不適当な肢です。
液状化は、地震の揺れで地下水や砂が地上に噴出し、建物が倒壊したり曲がったりして被害を受ける現象です。このような液状化は、埋立地の場合に発生しやすいです。埋立地は、埋め立て前の池・沼・海の水分が抜け切れていないおそれがあるからです。そこがたとえ台地上の地盤であっても、池や沼を埋め立てたのであれば、液状化に対して安全だとは言えません。

[問題]
 都市周辺の丘陵や山麓に広がった住宅地は、土砂災害が起こる場合があり、注意する必要がある。

[解説]
適当な肢です。
丘陵は、なだらかな丘(概ね海抜300m以下)のことであり、ご存じ多摩丘陵・狭山丘陵などの例があります。丘陵それ自体は土砂災害に直結するものではないです。しかし、都市周辺の丘陵に広がった住宅地は、土砂災害を無視した悪質業者が開発したものも散見されるので、注意する必要があります。また、山麓は山の麓(ふもと)のことであり、平成26年に広島市の安佐北区や安佐南区の住宅地を襲った大規模な土砂災害を見れば分かるように、土砂災害が起こる場合があり、注意する必要がある場所です。

(6)

もし、ご自身がお使いの「過去問解説集」や「過去問ドリル」の解説が、上の(5)でした私の解説より劣る場合は、ネットでも何でも使って、補充しておくことを強くオススメします(最低でも過去15年分について)。

なお5問免除者は、上記の非法律科目は全然出題されないので、今回のメッセージはスルーして下さい。



2023年12月13日(水)記



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