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楽に合格する話
期間計算
期間計算(1)
宅建試験の学習・勉強をしていて良かったと思って頂ける(かも知れない)知識を、少しお話ししましょう。
本日の演題 ? は年齢計算です。
参議院議員の選挙が公示されました。
平成16年7月11日が選挙日ですね。
皆さん棄権しないようにしましょう !
ところで、
今度の7月11日に選挙権があるのは、「いつまでに生まれた人」だと思いますか?
「宅建受験者をバカにすんな !」
「今年は2004年だから、20年前の1984年『7月11日』までに生まれた人に決まってるじゃないか!」
という声が聞こえてきそうですが、ブーブーです。
正解は、1984年『7月12日』までに生まれた人なんです。
どうして1日ズレるんでしょうね ?
常識で考えると、納得できない人も多いでしょう。
・ 「年齢計算ニ関スル法律」
・ 「民法143条2項」
という二つの法律を合わせ読むと、 こうなっちゃうんです。
正確には、
1984年7月12日に生まれた人が20歳になるのは、2004年7月11日の『午後12時(夜中の12時)』です。
夜中の12時であれ、7月11日には20歳になってたんだから、7月11日に行われる選挙には選挙権がある、ってなるんです。
どうしてこうなるかと言えば、
年齢の計算については、「初日を算入する」ことになってるからです。
どうして年齢の計算について、「初日を算入する」かと言えば、
「生後ゼロ日」という事態を防ぐためです。
もし、初日を算入しないで翌日から数えるとすると、
1984年7月12日午前10時に生まれた赤ちゃんは、その日は「生後ゼロ日」になっちゃいます。
これじゃ、人間がこの世に存在しない解釈を生むおそれが有ります。
法律はそれを恐れたんです。
そこで、生まれた瞬間に「生後1日」としたわけです。
午前10時に生まれようが午後3時に生まれようが、生まれた日は、全員が「繰り上げ」です。
24時間生きていたことになります。
つまり、年齢の計算については、「初日を算入する」ことになったんですね。
その結果、
1984年『7月12日』に生まれた人は、20年後の7月11日の選挙に選挙権があるという結論になるわけです。
どうですか ?
宅建試験の学習・勉強をしていて良かったと思って頂けましたか ?
試験には直接役立たない知識ですが、私は、こういう話題を「周囲との会話を盛り上げるネタ」に使ったりしてます。
※ ご注意
平成27年6月の「公職選挙法等の一部を改正する法律」により、現在では(平成28年6月19日の後に行われる選挙からは)、選挙権年齢が「満20歳以上」から「満18歳以上」に引き下げられています。
したがって、上記メッセージは「20歳等」を「18歳等」に読み替えてください。
平成16年 6月27(日)記
令和 3年10月14(木)追記
期間計算(2)
6月27日の話をマトメると、
「人の年齢は、誕生日の『前日の午後12時(夜中の12時)』に加算される」ということです。
ところで、
期間を計算する際に、「初日を算入する」のは、法律の世界では例外です。
6月27日に書いた年齢計算は、「生後ゼロ日」という事態を防ぐための例外です。
原則は、「初日を算入しない」んです。
昭和時代に、こんな問題が宅建試験に出題されたことがあります[昭和53年問5]。
今年7月5日午後1時30分に、Aは友人Bから3ヶ月の約束で、現金10万円を借りた。Aは次のどの期限までに返還すればよいか。
(1)今年10月4日午後1時30分まで
(2)今年10月4日午後12時まで
(3)今年10月5日午後1時30分まで
(4)今年10月5日午後12時まで
年齢計算だったら「初日を算入する」ので、7月5日午後1時30分に生まれた赤ちゃんが、生後3ヶ月になるのは、10月4日午後12時です。
でも年齢計算以外では、「初日を算入しません」。
民法140条にはこう書いてあります。
「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない」。
これはどういう事か言うと、初日である7月5日は「切り捨てる」という意味です。
だから3ヶ月の期間は、翌日の7月6日から数え始めます。
その結果どうなるかと言うと、3ヶ月後は、10月5日になります。
民法140条等の立法趣旨には、実は深い考慮があります。
「初日を算入しないことで」、
「5の付く日」で始まった期間は「5の付く日」で終わるようになってるんです。
7月の「5の付く日」から3ヶ月を数えた場合、終わりは10月の「5の付く日」になるように出来てるんですね。
つまり法律は、『覚えやすさ』を考慮してくれた、ということ(覚えやすさから、大の月、小の月は考えないのが原則です)。
だから上の問題の正解は、(3)か(4)のどちらかです。
じゃ、どっちでしょうか ?
ここでも『覚えやすさ』が物を言います。
時計に従って計算すれば、
7月5日午後1時30分の正確な3ヵ月後は、10月5日の午後1時30分ですね。
しかし、1時30分なんていう時間までは、とても覚えていられるもんじゃ無いです。
そこで民法は『覚えやすさ』を考慮して、10月5日一杯(10月5日が終わる時間)と決めました(民法143条2項)。
つまり上の問題では、10月5日午後12時(夜中の12時)までに返せばイイとなり、正解は(4)になるのです。
以上の「初日を算入しない」という原則は、将来だけでなく、過去に遡っても使えます。
登記を申請する場合に提出する印鑑証明書は、作成後3ヶ月以内のものでなければダメです(宅建試験では「平成1年問15]に出題歴あり)。
そこで、例えば7月「5日」に登記を申請する場合は、『覚えやすさ』を考慮して、4月「5日」中に作成されたものならOKとなります。
こういう話を知ってると、役所や銀行の窓口に行ったとき、オジケないで済みます!
(補足)
期間を定めるに、月をもってするときに「応当日が無いときは、その月の末日」が期限になります。
例えば、1月31日から1ヶ月の約束でお金を借りた場合、2月31日は存在しないので、2月28日(うるう年では2月29日)の午後12時が1ヶ月後になります。
平成16年 6月27(日)記
令和 3年10月14(木)追記
※ ご注意
令和4年4月1日からは「民法」により、成人年齢が、一般的に「満20歳以上」から「満18歳以上」に引き下げられます。例外:お酒やタバコは依然として20歳までダメ!
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