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国民不在の法律用語


宅地建物取引士(宅建取引士)に関連する3つの講習が、宅建業法及び宅建業法施行規則に載っている。
この3つは全部、
「講習を実施する機関」が主語になっている法律用語だ。
「講習を受ける国民(宅建取引士等)」が主語にはなっていない。
原因は、国民不在の法律用語にあると思う。


宅地建物取引取引士(宅建取引士)に関連する3つの講習が、宅建業法及び宅建業法施行規則に載っています。

(1)大臣登録講習法16条3項
(2)大臣指定講習規則13条の16、1項1号
(3)知事指定講習法22条の2、2項
の3つです。

この3つは全部、「講習を実施する機関」が主語になっている法律用語です。
「講習を受ける国民(宅建取引士等)」が主語にはなってません。
いわば国民不在の法律用語であり、そのため、非常に紛らわしいです。

(1)
の大臣登録講習というのは、
5点免除を受けるためのゲタ講習です。
「講習を実施する機関」が国土交通大臣に「登録してから行う」ので、こんな名前になってます。

(2)
の大臣指定講習というのは、
実務経験のない合格者が、取引士登録をしてもらう前提になる講習です。
「講習を実施する機関」が国土交通大臣の「指定によって行う」ので、こんな名前になってます。

(3)
の知事指定講習というのは、
5年ごとに取引士証を書換えるときに、宅建取引士に義務付けられている講習です。
「講習を実施する機関」が知事の「指定によって行う」ので、こんな名前になってます。

特に、上の(1)(2)を混同する人が多いです。
(1)
には「登録」という言葉が入っているので、(2)の取引士登録をしてもらう前提になる講習のことだと誤解するようです。

誤解の原因は、やっぱり「講習を実施する機関」が主語になっている国民不在の法律用語にあると思います。

同じことは、他の法律でも当てはまります。

例えば道路交通法
われわれが運転免許を更新する時、交通安全に関する講習を受けさせられますね。
あの講習の名前は、「公安委員会が行う講習」です(道路交通法101条の3、1項)。
やっぱり「講習を実施する機関」が主語になってます。

運転免許のほうは、「公安委員会が行う講習」じゃ国民にわかりにくいので、警察や交通安全協会等が、「更新時講習」という風に「講習を受ける国民」が主語になるように名前を変えて国民を啓蒙してます。

でも、宅建取引士に関連する上の3つの講習は、そのような啓蒙がなされているとは思えないんですがね。

形だけのエリートが形だけ国民主権を理解すると国民不在の紛らわしい法律用語が誕生してしまう、という話でした。


2005年05月17日(火)記
2021年09月13日(月)追記
2023年12月09日(土)追記


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