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文字情報の限界

次の文章を読んで下さい。

「宅地若しくは建物の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為」

この文章、実は宅建業法の条文です。
なんかグチャグチャした文章で、見るのもやになっちゃう人が多いかも知れません。
でも、この条文は受験者の皆さんが宅建業法を勉強するときの一番基本になるやつなんです。

次の宅建試験の勉強始めとして、
こういうグチャグチャした文章に出会った時の対処法を、少しだけ…。
小学生レベルから書いて行きますので、法律的な堅苦しい文章に慣れていない人にも理解して頂けると思います。

(1)

まずは漢字の読み方から。
「若しくは」は「もしくは」と読みます。「わかしくは」と読んじゃダメ!

(2)

「若しくは」も「又は」も、同じ意味の接続詞です。
英語で言えば「 or 」のことで、例えば、
宅地「若しくは」建物と書けば、宅地か建物の「どちらか」という意味です。
宅地「又は」建物と書いても、宅地か建物の「どちらか」という意味になります。

(3)

同じ意味でも、法律用語では「若しくは」と「又は」の間には序列があります。
「又は」という字は「大きい接続」に使い、
「若しくは」という字は「小さい接続」に使います。

(4)

じゃもう一度、
「宅地若しくは建物の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為」
という文章を見てみましょう。

「又は」という字は「大きい接続」に使うので、この文章は、「又は」を境に真二つに分断できます。

☆ 宅地若しくは建物の売買若しくは交換をする行為
★ 宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為
に分断できました。

(5)

分断した結果を、もう少し簡略化してみると、

☆ 宅地建物の売買とか交換をする行為
★ 宅地建物の売買とか交換とか貸借の代理とか媒介をする行為

となります。

(6)

もっと簡略化してみると、

☆ 宅地建物の売買・交換
★ 宅地建物の売買・交換・貸借の代理・媒介

となります。

(7)

もっともっと簡略化して、宅地建物という字を取り払ちゃうと、

☆ 売買・交換
★ 売買・交換・貸借の代理・媒介

となります。

(8)

ここまで簡略化すれば、このグチャグチャした文章が、結局は8つの行為を指していることが分かるでしょう。

そう!
☆印は
「売買(みずから)」と「交換(みずから)」の2つを指します。
★印は
「売買の代理」と「売買の媒介」
「交換の代理」と「交換の媒介」
「貸借の代理」と「貸借の媒介」
の6つを指します。

2+6で合計8つです。

(9)

どんな宅建の参考書にも最初の方に、「取引の種類は8つあると書いてありますがその8つのことが書いてある宅建業法の条文が
宅地若しくは建物の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為
という文章だったわけです。宅建業法第2条2号という条文です。


(10)

声に出せば1分くらいで終わることでも、こうして文章に書くのは結構大変なもんですね。
「文字情報にも限界」がありそうです。

ということは、情報の受け手である受験者の皆さんにとっても、文字情報だけでは限界があることを示唆しているように思います。


2007年01月05日(金)記
2023年11月09日(木)追記



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