(1)
理由を抽象的に示すのは簡単。
宅建は法律の試験であり、法律は、普通の人にとっては堅苦しいです。
だから「読みにくい」のです。
(2)
宅建のテキスト・参考書は、「読みにくさ」を本質とする商品ということです。
そこで、この「読みにくさ」をいかに解消するかで、各著者の無能・有能が判ってしまうのです。
(3)
私も「読みにくさ」を解消する苦労を少しはしていますよ(笑)。
そこで苦労のあとを、チョットだけお見せします。
試作品です。
お題は「相続の放棄と承認」。
(4)
相続は、被相続人(死んだ人)の財産が、法律上当然に、相続人に属してしまう制度です。
これを、堅苦しい用語では当然承継主義(民法896条)といいます。
ところで、被相続人の財産には、マイナス財産(借金)も含まれます。
だから、当然承継主義を貫くと、死んだお父さんの借金を背負い込んでしまうことになり、相続人に気の毒です。
そこで、民法が相続人保護のために用意しているのが「相続の放棄と承認」という制度です。
「相続の放棄と承認」の根底にあるのは、当然承継主義をどうやって修正するかなのです。
(イ) 相続の放棄(民法939条)
これは、相続人に相続を否認させるシステムです。
当然承継主義の放棄とも言えます。
相続人とならないので、死んだお父さんが借金まみれだった場合に、相続を放棄しておくと相続人は安心です。
(ロ)相続の承認
相続の承認には限定承認と単純承認があります。
(ⅰ)限定承認(民法922条)
これは、相続人が相続したプラス財産の範囲内でマイナス財産(借金)の責任を負わせるシステムです。
相続人とはなるので、死んだお父さんの借金額が不明な場合に、限定承認しておくと相続人は安心です。
(ⅱ)単純承認(民法920条)
これは、当然承継主義をそのまま貫くシステムです。
相続人は、プラス財産もマイナス財産も、全部責任を負います。
相続人となり、死んだお父さんの財産関係全部を面倒みるので、死んだお父さんに借金がほとんど無いような場合に、単純承認されることが多いです。
…以下省略…
(5)テキスト・参考書への条文表示
宅建の本に条文を表示すると、条文のところで文章の流れが止まってしまいます。
その結果、本が「読みにくく」なります。
だから迷物講師は、自分が作っているテキスト・参考書には条文を載せないのを原則としてます。
ネット社会は便利になりました。
上のリンク箇所(青い字)をクリックしてみて下さい。
当然承継主義・相続の放棄・限定承認・単純承認について、ピントが合った条文を1条ずつ御覧になれます。
どうしても条文が知りたい人は、ネットで調べればいいのです。
高い宅建六法を買う必要は全然ないです。
平成20年 7月23日(水)記
令和 3年10月15日(金)追記
ページのTOPへ