最後に更新した日:2021年03月13日(土)
(1)私たちの日常の行動
私たちの日常の行動は、【目的】と【手段】の関係で成り立っています。
「電車に乗って会社に行く」ことを考えてみます。
この場合、
【目的】は、会社に出勤すること
【手段】は、電車に乗車すること
です。
「異性との婚姻届を出す」のはどうでしょうか?
この場合、
【目的】は、幸福になること
【手段】は、役所に届けを出すこと
です。
女性の皆さん!
目的は「金目当て」だなんて茶化さないで下さいね(笑)。
(2)法律の構造
法律は、私たちの日常の行動をうまくやらせるために、国会が作った決まりです。
だから、法律の構造なんて簡単です。
法律の構造も、【目的】と【手段】の関係で成り立っています。
たったこれだけ。
(3)宅建業法の構造
じゃ、「法律の構造は【目的】と【手段】の関係で成り立っている」ことを、宅建業法を材料に説明してみます。
(イ)宅建業法の目的
宅建業法の【目的】…「お客さんの保護」
たったこれだけ。
(ロ)宅建業法の手段
「お客さんの保護」という【目的】を達成するため、宅建業法は、大きく分けて三つの【手段】を使っています。
(ⅰ)第1手段…宅建業者に必要なものを3個要求する
1個目は、宅建業者に「免許」を要求します。
無免許の宅建業者が横行したら、「お客さんの保護」という【目的】が達成されないことは明らかだからです。
2個目は、宅建業者に「取引士」を要求します。
法律の素人ばかりが宅建業の取引にたずさわるのでは、「お客さんの保護」という【目的】が達成されないことは明白だからです。
3個目は、宅建業者に「担保」を要求します。
宅建業者が倒産した場合に、最低限の保証も出来ないようでは、「お客さんの保護」という【目的】が達成されないことは明らかでしょう。
営業保証金制度や保証協会制度が、これに当たります。
(ⅱ)第2手段…宅建業者に業務上の規制をかける
第1手段で、宅建業者に必要な「免許」「取引士」「担保」の3つを要求しただけでは、「お客さんの保護」という【目的】が、まだ完全には達成できません。
宅建業者が勝手なことをしたら、お客さんが困ってしまう場合もあるからです。
そこで宅建業法は、第2手段として、宅建業者に業務上の規制をかけます。
これには、うんとあります。
試験に出やすい順でいうと、重要事項の説明義務・媒介契約の規制・8種規制・報酬額の制限なんかが、そうです。
私たちが自動車を運転するとき、免許を取得して担保(強制保険)に入っていればすべてオッケーかというと、違いますよね。
制限速度を守れとか、あそこは駐車禁止だとか、いろいろな規制があります。
それと同じで、宅建業法は「お客さんの保護」という【目的】を達成するために、宅建業者にいろいろな業務上の規制をかけるのです。
(ⅲ)第3手段…変なことをしたヤツにお灸(きゅう)をすえる
第1手段で、宅建業者に必要な「免許」「取引士」「担保」の3つを要求しました。
第2手段では、宅建業者にいろいろな業務上の規制をかけました。
でも、誰も守らなかったら調子悪いですね。
そこで宅建業法は、「お客さんの保護」という【目的】を達成するために、第1手段や第2手段を守らないヤツには、お灸(きゅう)をすえることにしました。
宅建の参考書では最後のほうに書いてある処罰が、それです。
処罰というのは、監督処分の「処」と罰則の「罰」の合成語です。
変なことをした宅建業者は、一定の場合に免許取消処分を受けます。
これは監督処分の一種です。
無免許営業なんかすると、最高3年の懲役が待ってます。
これは罰則の一種です。
(4)
(3)で書いたことをマトメると、
宅建業法は「お客さんの保護」を目的とし、その目的を達成するために「免許」「取引士」「担保」の3つを要求する(第1手段)とともに、宅建業者にいろいろな業務上の規制をかけ(第2手段)、それらを守らせるため変なことをしたヤツにお灸をすえる(第3手段)、法律だということです。
平成20年 8月 6日(水)記
平成22年11月12日(金)追記
令和 3年 3月13日(土)追記
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