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「信義誠実の原則」と「権利濫用の禁止」 - その1

(1)イントロ

一般の宅建参考書や過去問解説集にも「信義誠実の原則」や「権利濫用の禁止」は書いてありますが、民法学者が執筆した専門書の抜粋に過ぎず、お世辞にも、宅建受験者向けに噛み砕いて書かれているとは思えません。

そのため、せっかくそのような参考書類を読んでも、宅建の問題が出来るようにはなりません。
そこでこれから書く私のメッセージは、宅建受験者専用に、とにかく問題が解けるようにします。

(2)「信義誠実の原則」とか「権利濫用の禁止」って何?

民法1条2項は、「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」と書いてあります。これが信義誠実の原則です(民法1条2項)。

民法1条3項は、「権利の濫用は、これを許さない」と書いてあります。これが権利濫用の禁止です(民法1条3項)。

(3)宅建試験対策用に噛み砕こう!

皆さまは、上の条文をみて丸暗記したとしても、これらの条文を「日常生活で使いこなせる」でしょうか? おそらく無理でしょう。 条文の言葉があまりにも抽象的だからです。

権利・義務・信義・誠実って何ですか? 子供にすぐに説明できますか?
どういう場合が濫用(乱用)なのですか? 許さないってどういうことですか?

民法学者も当然気づいていて、学説を出して抽象的な意味を具体化しようと努力していますが、彼らも専門家を自認する以上オリジナリティーを出す必要があり、書いてあることが微妙に違います。

それを宅建参考書の著者が適当に選んで引用するので、宅建受験者の方は余計混乱してきます。

民法学者が書いた「信義誠実の原則」「権利濫用の禁止」についての記述は、学問的には正確です。それを適当に引用した一般の宅建参考書も同じです。でも、そのままでは宅建の問題が出来るようには決してなりません。

そこで、宅建専門で長年やらせて頂いている迷物講師が、宅建受験者のかたのために「信義誠実の原則」「権利濫用の禁止」を噛み砕いて説明しようと思った次第です。

(4)今回の結論

じゃ結論を申し上げます。

第一に、宅建受験者の皆さまは、信義誠実の原則」と「権利濫用の禁止を分けて考えないで下さい(学者の大多数・最高裁判所の判例も同じ)。

第二に、物事の道理に反し世間が許さないことが信義誠実の原則とか権利濫用の禁止の意味です(この定義は迷物講師のオリジナルなので、同業他社はマネしないこと)。

したがって、一般の宅建参考書類を読む時も、本試験で出題された判例を読まされる時も、「信義誠実」とか「権利濫用」という言葉が出てきたら、これらは
 物事の道理に反し、世間が許さないという意味
あるいは逆に、
 物事の道理に反せず、世間が許すという意味
だな! と思うようにして下さい。


2012年12月07日(金)記
2023年12月08日(金)記



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