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「信義誠実の原則」と「権利濫用の禁止」 - その2

(1)イントロ

前回は、
一般の宅建参考書類を読む時も、本試験で出題された判例を読まされる時も、「信義誠実」とか「権利濫用」という言葉が出てきたら、これらは物事の道理に反し、世間が許さないという意味(あるいは逆に、物事の道理に反せず、世間が許すという意味)だな! と思うようにして、と申し上げました。

(2)スポーツ上のフェアプレーの精神

スポーツ上のフェアプレーは、その競技で決められた「規則を破らない」ことですね。野球で言えば、投手はバッターの頭を目がけた危険球を投げてはいけないとか、サッカーならドリブルしながらゴールに向かっている選手の真後ろから足を引っ掛けてはいけないとか…。

でも、野球やサッカーなどの場合、「規則を破らない」(フェアプレー)だけじゃ点が入らず、多くの場合負け試合になります。勝つためには、相手を「出し抜く」要素が不可欠です。

野球の投手は、ストレートと見せかけてフォークボールを投げるとバッターが空振りしやすくなります。サッカーのミッドフィルダーは、自分でゴールすると見せかけて横にいるフォワードにパスすればそのフォワードがゴールする確率が高くなります。

このように、スポーツの場合は、相手を「出し抜く」技術が優れているほど勝利につながりやすくなるので、「出し抜く」行為はであり、賞賛の対象でもあります。

これは何を意味するかと言えば、相手を信頼する人間はバカという事です。サッカーを典型に、スポーツは戦争代替行為として発展してきたという歴史があるので、敵を信頼する将軍が無能とされたのは、当然なのかも知れません。

(3)法律上のフェアプレーの精神

法律上のフェアプレーは、「規則を破らない」点ではスポーツの場合と同じです。つまり、法律の条文に書いてあることを破ってはいけません。

ところで、法律上のフェアプレーは、スポーツより一段上を目指しています。スポーツでは善とされ賞賛の対象であった相手を「出し抜く」行為が、とされ非難の対象に変わってしまいます。

これを、物事の道理に反し、世間が許さない、つまり、「信義誠実の原則」や「権利濫用の禁止」というのです。相手を「出し抜く」のに長(た)けたヤツが、スポーツ選手のように年収何億を稼げるようにはさせないのです。何しろ悪いヤツですから…。

スポーツが戦争代替行為として発展してきたのと違い、法律は平時に人類の文明が発達させてきたものですから、相手を「出し抜く」代わりに、相手を信頼する事を法律上のフェアプレーの精神に加えました。

だから、相手を「信頼する人間は保護される」事になります。相手を信頼する将軍は無能どころか保護されるのです。

このように取り扱うことが、とりもなおざず私的自治の原則にも合致します。
だって、「希望もしないのに、私生活上の何かを強制されない!」のが私的自治なのに、相手を信頼する要素を入れなかったら、希望も何もないではないですか!


今回は、「物事の道理に反し、世間が許さない」(あるいは逆に、「物事の道理に反せず、世間が許す」)をキーワードに、平成24年度に出題された問題を説明しようと思いましたが、話をより分りやすくするために、私たちが普段何気なく使っている「フェアプレーの精神」を織り交ぜてみました。


平成24年12月11日(火)記


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