不動産登記法的な眼で世の中を眺めてみる

【買主の言い分】
… 私はこの土地の所有権を「取得」しました。
【売主の言い分】
… 私はこの土地の所有権を「喪失」しました。

不動産登記法は、所有権を「取得」したという買主の言い分を信用しません。
「財産を得た」という都合の良い話をするヤツを信用しないのが不動産登記法です。

所有権を「喪失」したという売主の言い分が加わって、はじめて信用します。
「財産を失った」というヤツは一応信用できるのです。

そこで、不動産の売買に際して行われる所有権の移転登記は、登記権利者(買主)と登記義務者(売主)が共同で、申請することになっています(不動産登記法60条)。

これを共同申請主義といいますが、「都合の良い話」をする人は信用できない、という世の中の常識と一致しているのです。

このような「不動産登記法的な眼で世の中を眺めてみる」と、イロイロな事が判明して勉強になります。

(1)

「魔法の教材です」的な宣伝は、その信ぴょう性を説明するまでもないでしょう。

(2)

「このメルマガの購読者はダントツです」的な触れ込みも、怪しいですね。
存在しないメルアド、スパムを送ってくるメルアド宛てに、メルマガを購読させるのなんか朝メシ前なのが今の技術です。

(3)

非営利をうたうサイトも、直ちには信用できません。
そもそも法律上、
・ 「非営利」は、仲間うちで「利益を分配しない」という意味
・ 「営利」は、仲間うち(株主等)で「利益を分配する」という意味
です。

したがって、「非営利」は「もうけちゃダメ」ということじゃないです。

「もうけてもいい」けれど、仲間うちで「もうけを分配するな」、ということに過ぎません(会社法の基本中の基本!)。

その証拠に、宅建試験の実施団体は財団法人なので「非営利」ですが、試験の受験料等で「もうけている」し、それが法律上許されるのです。

(4)

私も相当怪しいと思います。
講師歴19年なんていうのは、教材を売る側からすれば結構「都合の良い話」ですからね(笑)。

平成18年5月16日(火)記


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