私が火をつけたのかも知れませんが、「過去問の練習は最近の10年間だけじゃ足りないか?」 について、意見が分かれているようです。
10年間だけじゃ絶対に足りない! というのが私の意見です。
反対説(10年間で良い)を唱える関係者は、必死です。
11年以上前に出題された過去問からの出題率なんか「12パーセント前後」に過ぎない、という資料を具体的に提示する者もいます。
いっけん説得力があるので、多くの受験者に信用されそうです。
でも、こういう資料にはスゴイ仕掛けがあります!
ある年に過去問に似た問題が、実際に出題されたとします。
その場合、似た問題の「基準を厳しく」するのです。
そうすれば、11年以上前に出題された過去問からの出題率は「12パーセント前後」に過ぎない、という資料になります。
逆に「基準を甘く」すれば、11年以上前に出題された過去問からの出題率は「30パーセントを超えている」という資料も作れます。
両者とも、ある程度の経験がある講師なら簡単に作れます。
ひどい所になると、最近の10年間の基準と11年以上前に出題された過去問の基準が、全然違っていたりします。
3~4年前までは、そもそも「過去問は最近の10年間だけじゃ足りないか?」なんていう議論自体が無かった、と記憶しています。
※
昭和49年から令和5年までの49年間で、合計2450問の四択過去問が出題されています。
肢にすると2450問×4肢=9800肢です。
したがって、例えば令和6年に出される新しい問題(50問×4肢=200肢)について、それらが「過去問とどう似ているか」を判定するには、200肢について、令和5年以前の9800肢と比べてみる作業が必要になります。
200×9800=196万回の作業です。
瞬間的に済むこともあるので、現実にはもっと少ない作業ですが、普通の講師や宅建専業でない予備校が毎年196万回の作業をやっているかを、まず疑うべきでしょう。
コンピュータを使って比較したとしても、似た問題かどうかの基準は操作できるので、「過去問の練習は最近の10年間だけで良い」という意見には、やっぱり賛成できませんね。
※関連記事
過去問題の利用法
2006年07月02日(日)記
2009年09月14日(月)追記
2023年11月04日(土)追記