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罪な話だなぁ~

(1)

1月29日に、平成18年度行政書士試験の合格発表がありました。
全国平均の合格率は4%台ですってね? 宅建の合格率とは大違い。
すごい試験になったなぁ!

私が合格したのは、大昔も大昔、昭和52年(サラリーマン時代)です。
合格率は30%くらいだったと記憶しています。

当時は、都道府県ごとに問題が違っていて、行政書士試験は、純粋に都道府県知事が行う試験でした。
そのため、開業できる都道府県も受験地に限られていました。

私は東京都の行政書士試験を受けました。
合格証書の発行者は「東京都知事 美濃部亮吉」となっています。

既得権で、今では全国で開業できるらしいので、昔とったヤツは得ですね(笑)。

(2)

きょうホントに言いたいのは、ここからです。

合格率が数%の今の行政書士試験は、仕事を持っている人には、極めて合格しにくいです! 
なぜなら行政書士試験には現在、指定席があるからです。

・ 偏差値が高いとされる法学部の学生
・ ロースクール(法科大学院)の学生
・ 司法試験を受けている人、受けていた人

この人たちが、5%くらいまでの指定席をほぼ独占してしまいます。

したがって仕事を持っている人は、1年や2年予備校の世話になっても、ほとんど合格していません。
予備校側は、このへんの事情を故意に隠しているきらいがある!

(3)

私の言っていることを証明するデータがあります。

仕事を持ちながら、大手予備校の世話になって、一生懸命行政書士の勉強をしている人たちのデータです(教育訓練給付の給付金も受けていました)。
その人たちの、平成17年度のデータは次の通りです。

大手予備校A
通学講座
…受講料約24万円
 受講修了者 340名
 合格者    27名
 合格率    7.9%

大手予備校A
通信講座
…受講料約27万円
 受講修了者  40名
 合格者     1名
 合格率    2.5%

大手予備校B
通学講座
…受講料約18万円
 受講修了者 854名
 合格者    36名
 合格率    4.2%

大手予備校B
通信講座
…受講料約20万円
 受講修了者 358名
 合格者    11名
 合格率    3.1%

大手予備校C
通学講座
…受講料約24万円
 受講修了者 224名
 合格者     8名
 合格率    3.6%

大手予備校C
通信講座
…受講料約27万円
 受講修了者  79名
 合格者     4名
 合格率    5.1%

講座は、そこの予備校の一番高いものをサンプルにしました。
合格率は「受講修了者」(つまり途中挫折者を除く)が基準になっています。
したがって「受講開始者」(入学者)に対する合格率は、もっと低くなるでしょう。

(4)


仕事を持ちながら現在行政書士の勉強を一生懸命にしている人には申し訳ないデータですが、これが現実。
ぜひ費用対効果を考え直してほしいです。

なお司法書士試験では、私が司法試験を受験していた20年前から、すでに上で述べたような「指定席」が確保されていました。

司法試験をあきらめた私の仲間は、毎年のように80%の合格率で、司法書士試験に受かって、現在開業しています。

司法書士も行政書士も、宅建試験の次に目指す人がいますが、上のデータを見ると、仕事を持っていて向学心のある人には「罪な話だなぁ~」と、ため息が出てしまいます。



上のデータは、中央職業能力開発協会という厚生労働省の外郭団体が一般に公表しているものです。

平成19年2月5日(月)記



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