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そもそも「不動産」って何 ?

(1)

動かせない財産を不動産といいます。
土地と建物は、動かせないから不動産です。

逆に、
動かせれば動産です。
自動車・宝石・コピー用紙は、動かせる財産なので動産です。

以上の「動かせない」「動かせる」は、物理的な話です。
もっと言えば、人のチカラで「動かせない」か「動かせる」かです。

(2)

こういう話は、大昔から戦国時代を経て、私が学生のころまでは、あまり疑問を持つ人がいなかったです。

そういうことなので、民法86条はこんな条文になってます。

土地及びその定着物は、不動産とする」(1項)
不動産以外の物は、すべて動産とする」(2項)

この条文で「定着物(ていちゃくぶつ)」というのは、土地にガッチリくっ付いている物という意味で、建物が典型です。

(3)

ところで私は、今の若い人は、これから大変だなあ~と思います。

基本はあくまでも、「動かせない財産だから不動産」なのですが、最近の社会は、そんな基本を忘れさせる現象ばかりですもんね。

大地震のニュースに触れれば、
若い人の頭には「土地は動く!」がインプットされてしまいます。
うちの娘なんか、まさにこのタイプです。

これじゃ、「動かざること山の如し」と戦国時代をリードした武田信玄もビックリ

(4)

今の若い人が大変だなと思うのは、宅建の勉強に関しても同じです。

平成19年に住宅金融公庫が廃止され、代わりに住宅金融支援機構というのが出来ました。

ここを理解するには「不動産の証券化」という知識が必要ですが、「動かせない財産だから不動産」という大昔からの基本を知らないで、ただ単に証券化という言葉を振り回している若い人に出会うと、日本の将来が心配でなりません。

「不動産以外の物は、すべて動産とする」(民法86条2項)ことになっているのに、どうして動産(紙=証券)と不動産が一緒になっちゃうの? という疑問くらいは持ってもらいたいです。

こんな疑問は解決しないでも、宅建試験には合格します。

でも私は、
若い人も若くない人(?)も、皆さんには「宅建合格が終点」の人物になって欲しくないです。

(5)

近い将来、不動産屋さんも、今までの仕事がガラリと変わってくる可能性があります。

従来型の仲介(代理や媒介)業務は当分無くならないにしても、20年先は疑問です。

一件一件の手数料は少なくても、安定的な収益をもたらすことで見直されてきた不動産の管理業務(例:マンションや駐車場の管理)にシフトする不動産屋さんも増えてます。

さらには、自社の業務態様を「不動産の証券化」関連にシフトしつつある不動産屋さんも増えているようです。

不動産投資顧問業が典型ですが、それに向けて法整備も着々と進行してます。

そんな時代にあって、
どうして動産と不動産が一緒になっちゃうの?」という根本的な疑問から説き起こせる人材が、わが国には不可欠です。

居酒屋で「日本版サブプライムが心配なんだよね!」などとクダを巻きながら上司の悪口を言っているだけじゃ、20年先の保証はないです。

(6)

勢いでキーボードを叩いていたら、最後は説教っぽくなっちゃいました。 スイマセン。


2008年06月20日(金)記
2023年11月01日(水)追記



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