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最近は宅建試験の出題者の質が落ちた

去年は宅建業法[問45]で出題ミスが生じましたが、大手予備校が騒がなかったためか、闇に葬られたようです。

手元にある市販本では、新星出版社の「宅建過去問徹底研究」だけが、「問45は誤問である。出題者の猛省を促したい。」と書いてあるだけです(同書505ページ)。
著者の大場 茂先生はスゴイ!
 
今日の題は、「最近は出題者の質が落ちた」ということですが、私が言いたいのは出題ミスについてでは有りません。 
 
宅建業法施行規則第7条は、
宅建試験は宅建業に関する実用的な知識を有するかどうかを判定することに基準を置くものとすると書いて有ります。
 
でも最近の宅建 「特に民法」は 宅建業に関する実用的な知識を遥かに超えたテーマからの出題が目立ちます。
 
例えば平成13年[問 6]を見て下さい。
私は開いた口がふさがりませんでした!
こういう問題です。
 
契約当事者が死亡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
(1)委任契約において、委任者又は受任者が死亡した場合、委任契約は終了する。
(2)使用貸借契約において、貸主又は借主が死亡した場合、使用貸借契約は効力を失う。
(3)組合契約において、組合員が死亡した場合、当該組合員は組合契約から脱退する。
(4)定期贈与契約(定期の給付を目的とする贈与契約)において、贈与者又は受贈者が死亡した場合、定期贈与契約は効力を失う。
 
疑問となる肢は(3)と(4)です。
いいですか皆さん!
民法の規定による組合契約や定期贈与契約なんて、今は無いんですよ! 明治時代のお話です。
 
組合契約とは、各当事者が出資して共同の事業を営むときの契約ですが、現代社会では、各当事者が出資して共同の事業を営む行為は、商法上の会社制度や特別法上の組合(消費生活協同組合、農業協同組合など)で規律されているので、民法上の組合契約はまず存在しません。

それについての知識を問うことが、「宅建業に関する実用的な知識」とどう関係するのか、教えてもらいたいくらいです。
 
消去法で行けば(2)「正解肢」にマークできると思う人は、「お人良し」すぎます。
 
(4)の定期贈与契約は、例えば毎月一定の金銭をタダであげるときの契約ですが、今では、こういうものは老後の年金制度として特別法で規律されているので、民法上の定期贈与契約は極めて現実性に乏しいです。
 
(3)と(4)が混じっているだけで、これが運命の分かれ道になった受験者を何人も知ってます。
 
こういう明治時代の制度を出さないと合否を判定できる問題を作れない出題者をして、「無能という以外に何と言えばイイんでしょうかね
 
そろそろ、出題者の無能ぶりを自ら暴露するような問題はやめてチョ!
私に問題を作らせてみろって!
 
全ての受験者の皆様に御同情申し上げます。

平成14年7月18日(木)記



平成16年も民法上の組合契約を出しやがった。
言語道断

平成17年1月某日 追記


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