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無責任な漫談解説

受験者の皆さんは,法律を「やさしく解説」してくれる講師の所に集まります。
当たり前でしょう。

【質問】
宅地造成等規制法の許可を受ければ,農地法の許可は不要ですか?

【回答】
宅造法は宅造法で,農地法は農地法で,それぞれの世界観があるので,やっぱり別物と考えてね。
どっちかの許可を受けたら,もう一つの許可が不要とはならないんだね。
法律が違うということで,別々のお店と考えておきましょう。
やってることは同じようなもんでも,別に指名料がかかるということです。

こんな回答をする講師は,「やさしく解説」してくれるように見えます。
しかし,私はかなりヤバイと思っています。
これじゃ受験者がかわいそうです。
理由は二つあります。

一つは,受験者の質問に,軽いノリで逃げている点です。

それと関連してもう一つは,
受験者の質問に対して,理由を言っているようで,全然言っていない点です。

この回答は,「両者は違う法律だから,一方の許可を受けても他方の許可は不要にならない」と答えています。

しかし質問者は,「両者は違う法律」であることなんか十分承知しています。

その上で,「片方の許可を受ければ他方は不要か」と,あえて質問しているのです。

それなのに,この回答は,質問者が十分承知している「両者は違う法律である」ことを理由にあげているのです。

質問者が知っていることを理由にしても,そんなのは理由にはなりません。
法律以前です。

責任ある講師だったら,質問者の応用力を養うために,法律の考え方の基本を理由にして,結論を導かなければなりません。

じゃないと,受験者は結論を丸暗記したのと同じ状態に置かれ,応用力がつかず,無間地獄に落ちちゃいます。

私なら,
「宅造法はガケ崩れから命を守るための法律でしょ。
でも農地法は農家を守るための法律。
目的が全然違うじゃん!
目的が違うと取り扱い
手段も違うのが法律の基本的発想法なんだよ。
だから,一方の許可を受けても他方の許可は勘弁とはならないんだ。
こういう発想法は,宅造法と農地法の関係じゃなくても全部使えるよ!」
と回答します。

なお,上のような回答をするダメな宅建講師を,業界では「漫談講師」と呼びます。

平成18年6月1日(木)記


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