(1)
宅建参考書の不思議では,例外である制限行為能力者から話が始まるのが,私には不思議でならない! と書きました。また,ほとんどの宅建参考書の民法は,例外である錯誤・詐欺等が最初の方に書いてあるのも,私には不思議でならない!
と書きました。
そこで,「お前の参考書はどういう書き方をしてるんだよ?」と聞きたくなる人がいるでしょうから,これから,それにお答えします。
(2)
宅建は不動産屋さんの試験であり,不動産屋さんに一番重要なのは宅建業法です。決して民法ではありません。
したがって私は,「民法は宅建業法を理解するための手段」に過ぎないと考えてます。
宅建試験では,宅建業法のほうがエライのです(原則・典型なのです)!
(3)
宅建業法のような法律を「取締法規(とりしまり・ほうき)」と言います。
宅建業法が何を取り締まるかと言うと,宅建業者がする宅地建物の「取引」です。
じゃ宅建業者がする「取引」って何か? と言うと,次の8つです。
1. 売買(自分名義で売買契約に直接タッチすること)
2. 売買の媒介(本人から頼まれて相手方を探し,本人に売買契約をさせること)
3. 売買の代理(本人から頼まれて相手方を探し,本人に代わって,売買契約をしてあげること)
4. 交換(自分名義で交換契約に直接タッチすること)
5. 交換の媒介(本人から頼まれて相手方を探し,本人に交換契約をさせること)
6. 交換の代理(本人から頼まれて相手方を探し,本人に代わって,交換契約をしてあげること)
7. 貸借の媒介(本人から頼まれて相手方を探し,本人に賃貸借契約または使用貸借契約をさせること)
8. 貸借の代理(本人から頼まれて相手方を探し,本人に代わって,賃貸借契約または使用貸借契約をしてあげること)
このように,宅建業法は上の8つの「取引」を取り締まる法律なので,こういう取引を行なう個人または法人を,宅建業者(正式名:宅地建物取引業者)と呼びます。
そして宅建業法は ,宅建業者を取り締まるために,宅建業者に免許・取引主任者・営業保証金等の担保を要求します。
さらに宅建業法は ,宅建業者を取り締まるために,宅建業者にいろいろな業務上の規制(例:重要事項の説明義務・報酬額の制限・手付金等の保全措置をとる義務)を課します。
ちなみに,宅建業法が宅建業者を取り締まる理由は,全部,お客さんの利益の保護です。
取締法規である宅建業法の構造なんて,こんなもんです。簡単でしょ?
皆さんが運転免許をとる時に勉強した道路交通法も取締法規ですが,あれもそんなに難しくなかったでしょ?
道路交通法は,命の安全と渋滞の解消のために,自動車の運転者等を取り締まる法律です。
だから,自動車の運転者等を取り締まるために,免許・危険物取扱者(タンクローリーの場合)・自賠責保険等の担保を要求してました。
さらに ,自動車の運転者等を取り締まるために,いろいろな規制(例:駐車禁止・速度制限・右折禁止等)を課してましたね。
どうですか? 私のブログは「ためになるでしょ?」(笑)
ちょっと脱線したので,話を本題に戻します。
(4)
宅建業者がする8つの「取引」を,もう一度書くと下のようになります。
1. 売買(自分名義で売買契約に直接タッチすること)
2. 売買の媒介(本人から頼まれて相手方を探し,本人に売買契約をさせること)
3. 売買の代理(本人から頼まれて相手方を探し,本人に代わって,売買契約をしてあげること)
4. 交換(自分名義で交換契約に直接タッチすること)
5. 交換の媒介(本人から頼まれて相手方を探し,本人に交換契約をさせること)
6. 交換の代理(本人から頼まれて相手方を探し,本人に代わって,交換契約をしてあげること)
7. 貸借の媒介(本人から頼まれて相手方を探し,本人に賃貸借契約または使用貸借契約をさせること)
8. 貸借の代理(本人から頼まれて相手方を探し,本人に代わって,賃貸借契約または使用貸借契約をしてあげること)
この8つが,本試験直前になっても「空で出てこない人」は,まず合格できません。
宅建試験では,この8つの「取引」はメチャクチャ重要です。
また,「民法は宅建業法を理解するための手段」に過ぎないので,私の民法の参考書では,一番最初のタイトルを,
・ 第一章 宅建業者の「取引」に直結する契約
としてます。
この取引とは,もちろん8つの取引のことです。
(イ)
じゃもう一度,上の8つの「取引」を良く見て下さい!
まず,ここから3つの「契約の種類」を抜き出すことができます(緑色の部分)。
・ 売買契約
・ 交換契約
・ 賃貸借契約または使用貸借契約
ですね。
そこで,私の民法の参考書は,
・ 第一章 宅建業者の「取引」に直結する契約
の中を,さらに4つの節に分けて,
第一節 売買契約
第二節 交換契約
第三節 賃貸借契約
第四節 使用貸借契約
と,宅建業者の「取引」に直結する「契約の種類」が書いてあるわけです。
(ロ)
この8つの「取引」はメチャクチャ重要なので,もう一度書きます。
1. 売買(自分名義で売買契約に直接タッチすること)
2. 売買の媒介(本人から頼まれて相手方を探し,本人に売買契約をさせること)
3. 売買の代理(本人から頼まれて相手方を探し,本人に代わって,売買契約をしてあげること)
4. 交換(自分名義で交換契約に直接タッチすること)
5. 交換の媒介(本人から頼まれて相手方を探し,本人に交換契約をさせること)
6. 交換の代理(本人から頼まれて相手方を探し,本人に代わって,交換契約をしてあげること)
7. 貸借の媒介(本人から頼まれて相手方を探し,本人に賃貸借契約または使用貸借契約をさせること)
8. 貸借の代理(本人から頼まれて相手方を探し,本人に代わって,賃貸借契約または使用貸借契約をしてあげること)
次は,ここから契約への「たずさわり方」を2つ抜き出すことができます(ピンクの部分)。
・ 媒介
・ 代理
の2つですね。
媒介も代理も宅建業法上の専門用語ですが,実は民法上,
・ 媒介は委任契約のこと
・ 代理は代理契約のこと
です。
そこで,私の民法の参考書は,
・ 第一章 宅建業者の「取引」に直結する契約
の中を,さらに2つの節に分けて,
第五節 委任契約
第六節 代理契約
と,取引の「たずさわり方」に関係する契約が,書いてあるわけです。
上の8つの「取引」の所を見ると,媒介も代理も,本人から頼まれて相手方を探すまでは共通してますね。
相手方を探した後,本人に契約させるのが「媒」介です。結婚する時の「媒」酌人と同じ字ですね。男女を引き合わせた後,本人に結婚させるので「媒」酌人なんです。
お仲人(なこうど)さんは,自分では契約(結婚)しません。
それに対して,相手方を探した後,宅建業者が本人に代わって,契約をしてあげるのが代理です。代理の場合は,宅建業者が自分で契約(結婚)しちゃうので,お仲人さんとは呼べず「媒」の字は使いません。
(5)
以上,「お前の参考書はどういう書き方をしてるんだよ?」,にお答えしてきました。
なお,私の参考書の記載順は,有料教材・無料教材を一切区別してません。有料も無料も同じ記載順になってます。何しろ,書いている人間は一人しかいないですから…。
普通の参考書の記載順なんて,せいぜい「条文の順番だから…」的な理由でそうなってるだけです。宅建が法律の入門資格であることをチャント考えた上で,記載順が決めらることは,ほとんどないでしょう。しょせん「市販の宅建参考書なんて法律専門書のダイジェスト版」に過ぎません。
したがって,私とは縁のない皆さんも,ページ順に御自分の参考書を読む必然性なんかない! と申し上げておきます。もっと言うと,市販の参考書を使っている人が,私の参考書の記載順に読んでも,全然構わない! ということです。
※参考
宅建のテキスト【民法・権利関係】の目次
平成22年1月15日(金)記
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