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宅建士令和3年度(12月追試)の【問44】は、印刷ミス

(1)迷物講師の見解

令和3年度(12月追試)の【問44】は、正しいものはいくつあるか」という形式の、いわゆる「数かぞえ」問題です。

ほぼ100パーセントの予備校が、アからウの三肢全部が正しいものとして、「」を正解と発表していますが、わたくし迷物講師の見解では、上記アは印刷ミスで、とうてい正しいとは評価できないので、(12月追試)の【問44】は「」を正解とさせていただきます。

(2)【問44】のアの問題文

【問44】のアは、

賃貸借契約において、取引対象となる宅地又は建物が、水防法施行規則第11条第1項の規定により市町村(特別区を含む。)の長が提供する図面に当該宅地又は建物の位置が表示されている場合には、当該図面における当該宅地又は建物の所在地を説明しなければならない。

という問題です。

この問題は、「市町村の長が提供する図面」という文章がポイントです。

普通に勉強してきた受験者なら、この図面が、最近話題になっている「水害ハザードマップ」のことであることが、ピーンと来ますね。

(3)歴史

無料・有料を問わず、わたくし迷物講師の教材で勉強して来なかった皆さまのために、水害による被害を少しでも軽減するための我が国の歴史を、法律的に書いておきます。

洪水・雨水出水・高潮などの水害による被害を少しでも軽減し、国民の命や財産を保護するために「水防法」という法律が、何と!太平洋戦争直後の昭和24年(1949年)から制定されています。

この水防法(水防法施行規則を含む)の定めは、現在では、宅建業法35条の重要事項の説明義務にも大きな影響を受けていて、取引対象となる宅地又は建物が、水防法施行規則第11条第1号の規定により市町村(特別区を含む。)の長が提供する図面(水害ハザードマップ)にその宅地又は建物の位置が表示されている場合には、当該図面(その水害ハザードマップ)における宅地又は建物の所在地を説明しなければならないことになっています(売買物件・賃貸物件を問いません)。

(4)水害ハザードマップ(英語の勉強を兼ねて)

英語では「danger」は端的に「危険」を、「hazard」は「危険な目に遭うかもしれない」という可能性を示唆するときに使います。

そこで、水害ハザードマップは、水害という危険な目に遭うかもしれないことを示した地図ということになりますが、ここで「水害」とは「洪水・雨水出水・高潮」を意味します。

そして現在では、河川ごとに水害ハザードマップが作成されている場合には、全ての河川について、水害ハザードマップの添付・説明が、宅建業法35条の重要事項として必要になることになっております。

(5)最初に戻って

【問44】のアは、

賃貸借契約において、取引対象となる宅地又は建物が、水防法施行規則第11条第1項の規定により市町村(特別区を含む。)の長が提供する図面に当該宅地又は建物の位置が表示されている場合には、当該図面における当該宅地又は建物の所在地を説明しなければならない。

という問題です。

それについて、わたくし迷物講師の見解では、上記アは印刷ミスで、とうてい正しいとは評価できず、(12月追試)の【問44】は「」が正解となると申し上げているわけです。

じゃ印刷ミスが生じてしまった場所は、どこなのか、についてお答えします。

水防法施行規則第11条「第1項」の規定による、という点が印刷ミスなのです。

正しくは
水防法施行規則第11条「第1号」の規定による、としなければならなかったのです。

水防法施行規則第11条「第1項」なんていう規定は、どこを探しても存在しないんですよ!
存在するのは、水防法施行規則第11条「第1号」なんですね。

インターネットで「水防法施行規則」という用語で検索してみて、国が作った条文集で調べてみればわかりますから…。

(6)余談 わたくし迷物講師が運営する「宅建倶楽部」ないし「宅建の迷物図書館」は、創業当時(1998年。グーグルが創業したのと同じ年)は、「宅建」というキーワードで検索すると「悪くても3番目まで」に出てくる有名サイトでした。 でも今は、広告を一切出さないので、検索順位は、それはそれは悲惨なものです。 したがって、(12月追試)の【問44】は「2」が正解となるという私の見解は、キャリア官僚が出題者のほとんどを占める、宅建試験では無視される可能性99パーセントです。 でも、「正邪をハッキリさせることこそ最高教義!」との人生哲学から、死ぬまで抜け出せそうにない、バカ迷物の世迷い言と、お笑い下さるのも有りかな?と思いつつ、本日の筆を置かせていただきます。


令和4年 1月19日(水)記


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