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楽に合格する話
次回の受験に向けて、【№3】意味を盛り込めるチカラを獲得する方法
(1)前回までの復習
前々回は、「宅建試験には文章読解力が要求され、そこで要求される読解力は『社会的な意味』を盛り込んで読めるチカラを指す」と書きました。次回の受験に向けて【№1】
また前回は、「社会的な意味とは、普通の人が理解できる意味のことであり、宅建で要求される文章読解力は、『普通の人(法律を専門としない人)が理解できる意味』を盛り込んで読めるチカラを指す」と書きました。次回の受験に向けて【№2】
したがって、参考書や試験問題を読む際には、普通の人が理解できる意味を盛り込めるチカラがないと、とても調子悪いことになります。
じゃどうすれば、こういうチカラを獲得できるのでしょうか?
(2)普通の人が理解できる意味を盛り込めるチカラを獲得する方法
(イ)第1 - 理由を知ろうとする
理由を知りたいのは、人間の本能だからです。
誰でも4~5歳のころ、「なぜ猫にはヒゲがあるの?」とか「なぜお月様は落っこちてこないの?」とかいう質問を、周囲の大人にあびせ続けた記憶があるでしょう。あれが人間の本能です。
この本能は、大人になっても失われません。
民法で「他人の物でも売れる」と習ったとき、「人様の物なのになぜ売れるんだ?」という疑問をチョットでも感じたなら、あなたの本能は、まだ失われていません。
理由を知ろうとするのは人間の本能なので、誰にでもあります。
誰にでもある本能を利用することこそ、普通の人が理解できる意味を盛り込める最強の方法なのです。
大人になると忘れがちなこの本能に、あなたの感受性を、もっと振り向けてみてはどうでしょうか?
(ロ)第2 - 単語や文章を普通の言葉に直す
前回書いたように、宅建受験者は修行中の身です。宅建に出題される法律に関しては、それを専門としているとは言えません。つまり受験者は普通の人なのです。
したがって、参考書や試験問題を読む際には、単語や文章を普通の言葉に直すことが、普通の人(受験者自身)が理解できる意味を盛り込める有力な方法になります。
単語でいえば「契約」が代表ですね。
法律学辞典を引くと、「互いに対立する二個以上の意思表示の合致によって成立する法律行為」が契約の定義だと書いてあります。でも、こんな定義は普通の言葉じゃないです。普通の言葉では、契約とは人と人との「約束」のことです。契約=約束です。普段から、参考書や試験問題を読む際に、このように普通の言葉に直す修行をしておくことは、普通の人が理解できる意味を盛り込める有力な方法になるのです。
宅建業法の本試験では、「宅地建物取引業者Aは、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間で、建築工事完了前の建物に係る売買契約を締結した」なんていう文章が、結構頻繁に出てきます。こういう堅苦しい文章も、普段から、普通の言葉に直す修行をしておくべきです。
例えば「業者Aは、自社物件の未完成建物を非業者Bに売った」という風に…。
(ハ)第3 - 自分がスター(主人公)になる
(ⅰ)提案
これは心理学からくるものです。
人間誰でも、どんな場面でも、自分がスターになるとハリキリます。「その他大勢」のときとは全然違うハリキリようです。
これを、参考書や試験問題を読む際に応用してみてはどうか?という提案です。
そもそも法律の文章は堅苦しいです。
だから参考書や試験問題を読むとき、単に字面(じづら)を追うだけじゃ、読んでいる皆さんは傍観者(その他大勢)に過ぎません。どうせ勉強するなら、参考書や試験問題の中に出てくる人物に成りきって読んでみてはどうでしょうか?
「宅地建物取引業者Aは、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間で、建築工事完了前の建物に係る売買契約を締結した」なんていう堅苦しい文章に出合ったら、自分がAに成りきってみるんですね。こんな風にです(事例は自分なりに適当にアレンジしてOK!)。
・自分(A)は駅前で不動産屋をやってるが景気が悪い。
・早く現金が欲しいので未完成建物でも売っちゃおうと思う。
・そこへ素人のBが来店したのでこれ幸いと契約した。
(ⅱ)誤解しないように
私などにガタガタ言われなくても、「自分がスターになる」ことの効用を意識している受験者は、昔より多くなりました。でもまだ、多くに誤解があります。
a. 宅建の勉強内容を漫画で説明した本を買う人
いい線行ってます。確かに漫画を読めば、スターに成りきれますね。
でも残念ながら、現状では合格に必要とされている知識の1割も漫画化されていません。
そして何より、宅建は印刷物として提供された「文章の読解力」が試される試験なので、漫画のような画像に慣れてしまうと「文章の読解力」が弱くなるという危険も、少しは意識しておいて下さい。
b.宅建講師と仲良くする人
これもいい線行ってます。確かに講師と仲良くすれば、「その他大勢」の受講者と比べればスターに近づけます。講師に名前を覚えてもらい、食事でもできる仲になれば、何か特別の事があると思うかも知れません。
でも残念ながら、宅建講師は芸能人じゃないので、あまり近づきすぎると、本来の目的に対する「抵抗力を弱めてしまう」危険があることを、ちょっとは意識しておいて下さい。
本来の目的は、あくまでも印刷物として提供された「文章の読解力」を高めることです。これは自分だけでする、ある意味孤独な作業なのです。なお私は、宅建講師と仲良くするのを否定するわけじゃないです。完全に独学の方、あるいは「その他大勢」の予備校受講者と比べれば恵まれているとは思いますが、ほどほどにと言うことです。
…このシリーズおわり…
平成21年12月16日(水)記
平成22年11月12日(金)追記
令和 3年10月16日(土)追記
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